2007年10月2日 担当/職業奉仕委員会 |
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会長 入口 博美 |
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今回の例会は、移動例会による職場訪問です。
規模作業所が活動しています。ここでは障害を持った方が自立や自己実現のため様々な作業を行い工賃が支給されています。しかし、その平均は月額1万数千円程度以下という信じ難い状況であり、欧米など労働法規や所得保証をもとにした考え方と比較するとずいぶん遅れています。では、どうしてこのような状態が長く続いてきたのでしょうか。それは我が国の障害者福祉の歴史や制度などが大きく影響しています。
今例会は、いずみ学園ワークセンターの横山センター長とお話をさせて頂く機会がありまして、横山氏から「当授産施設の事業の内容をもっと多くの方に知って頂きたい」というご提案を頂いたのが、例会開催のきっかけでございます。
ここに通所されている方たちは、ここでパンの製造やクリーニングの作業を行い、その作業で得た収入で自分の生活を営み、また職業技術習得の努力をされております。今般、福祉に対する行政の財政支援は、非常に厳しいと聞いております。
そこで、私共として力をお貸しできる機会はないものなのかと思い、まず当施設を見学させて頂き、障害者施設の現状を認識し勉強したいと考えております。
授産(じゅさん)ということばにあるように、その始まりは窮民や失業武士、震災被災者を救うための救済事業でした。文字どおり気の毒な人たちに「授ける」という意味をもっていました。
今後は、会員の会社で使用する作業服のクリーニングを当センターにお願いしたり、当センターで作られるパンをあらゆる方面、場面で販売または購入できる機会の創出に協力はできないものかと知恵を絞って参りたいとも思います。 |
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社会福祉法人 千歳いずみ学園 通所授産施設 いずみワークセンター
センター長 横山 真紀 様 |
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日本にはおよそ2,000箇所の授産施設と6,000箇所の小規模作業所が活動しています。ここでは障害を持った方が自立や自己実現のため様々な作業を行い工賃が支給されています。しかし、その平均は月額1万数千円程度以下という信じ難い状況であり、欧米など労働法規や所得保証をもとにした考え方と比較するとずいぶん遅れています。では、どうしてこのような状態が長く続いてきたのでしょうか。それは我が国の障害者福祉の歴史や制度などが大きく影響しています。
今例会は、いずみ学園ワークセンターの横山センター長とお話をさせて頂く機会がありまして、横山氏から「当授産施設の事業の内容をもっと多くの方に知って頂きたい」というご提案を頂いたのが、例会開催のきっかけでございます。
授産(じゅさん)ということばにあるように、その始まりは窮民や失業武士、震災被災者を救うための救済事業でした。文字どおり気の毒な人たちに「授ける」という意味をもっていました。
戦後になって社会福祉事業法に体系化され社会福祉事業として位置付けられることになりますが、「身体障害者収容授産施設」というように「収容・保護」や「授ける」から現在の福祉が出発することになります。
どうか皆様におかれましては、趣旨にご理解を頂きたく思います。
その後、障害者福祉の高まりから「精神薄弱者収容授産施設」、「重度身体障害者収容授産施設」、「身体障害者福祉工場」、など様々なスタイルの授産施設が法整備とともにできあがります。昭和50年代にはいると国際障害者年やノーマライゼーションの理念に基づく通所型の施設が整備されはじめます。同時に施設整備の遅れの穴を埋めるように小規模作業所(無認可施設)がたいへんな勢いで増えていきます。これほど多くの小規模作業所が社会資源として機能しているケースは日本独特といわれています。
私たちの組織や事業は、いったい何のためなのか、社会福祉の仕事は、結果や価値が分かりにくいと言われています。私たちは豊かな地域をつくるための一つの機能であり、地域社会のニーズにピッタリと沿ったものであることが大切です。地域の様々なパートナーと協働し付加価値を高めていく(だれもが住みよい街)ことが望まれます。地域社会のニーズに沿った経営を追求する限り私たちは支持され存在します。安定した措置制度と規制のもとでは大きな問題はなく施設はその存在のみで充分と思われてきました。
しかし変化の時代を迎え、社会福祉の変化(ノーマリゼーション、自己実現、自己決定)、契約制度や社会コスト、費用対効果という新しい概念のもと戦略
と組織のマネジメントは施設の存続の条件となってきました。
近年サービス業はよいサービスを安定して提供していく仕組みとしてマネジメント(戦略的思考)という考え方をするようになりました。ニーズをすばやく捉え迅速に対応する、顧客の満足度を凝視し常によりよいものに近づく取組みです。サービス業に限ることなく変化を常態ととらえ常に改善を行う体質が組織の条件であるといえます。この「マネジメント」を軸に授産施設の運営を考えてみます。
「ビジョナリーカンパニー」という言葉を目にしました。おおよそ顧客や社会に対して明確な価値観とメッセージをもち、それが経営の中心にありさらに構成員の行動の規範にもなっている組織とし、時代を越えて支持される組織の条件云々というような内容であったと記憶しています。この概念は授産施設にとって非常に大切なことではないかと思いました。私たちは経済活動を行っていますが決して営利追求の組織ではなく社会の中で障害者の就労を担う公益的な存在でもあります。地域にたいして明確な価値観とメッセージを発信しコミュニケーション活動を行うことが大きな役割であると考えています。その不断の取組みこそ地域社会が授産施設を支える仕組みを創りあげていくこととなります。
私たちの仕事の守備範囲は施設だけではなく地域社会であるともいえます。
シンプルで分かりやすい方法で「自分たちの存在を印象付ける」ことがブランドづくりの第一歩です。私たちは日頃から授産活動に携り生活の一部となっていますが、通常の社会生活営む一般の方には殆ど知られることのない存在ではないでしょうか。街を歩く人に「○○作業所」や「△△施設」を知っていますか?と尋ねると殆どの方は「知らない」か「名前しか」と応えるでしょう。
1) 「存在や授産事業を知っていただく」
2) 「障害者の就労や作った製品を知っていただく」
この2つについて分かりやすく伝えることからはじめることが必要です。さらに継続して続けることにより認知・理解が深まります。ブランドとは「認知の深まり」のことで、活動(障害者の就労環境整備)の大きな糧となります。
授産施設や小規模作業所で作ったものを授産製品と呼んでいます。売上は必要経費を差し引いたものが工賃として利用者に支給されます。授産施設が自主製品をつくることの意義を少し考えてみました。
授産施設は「自主事業(製品・サービス)・下請け作業・就労支援事業」のどの事業を選択するか、その所在の地域や利用者の障害程度、人や設備をもとに検討されます。特に周りに企業が少ない、下請け作業が無くなったなど深刻な地域では新しく授産事業を起こし利用者の職場をつくらなければなりません。さらに、常時支援が必要な職業的重度の方や離職者の活動の場として少しでもプライドの持てる仕事として自主製品をつくる施設もあります。
しかし、どのような場合でも、消費者(顧客)を対象にしたものであれば、品質や技術を追求し商品への責任を果たすことが必要です。よい商品をつくり出すことは利用する障害者の工賃に還元できるだけでなく、授産施設や障害者の理解につながります。授産製品をつくるのは職員です、障害者の作った商品は「高い」「品質が悪い」となると、それは支援する職員の資質の問題といえます。この誤解は大変なことです。だれも売れない商品を好んで作る人はいません。どんな商品にもマーケットが存在します。授産製品にとってのマーケットは特別な意味をもちます。それは、マーケットが実は私たち福祉業界が意識し働きかけている「地域」または「社会」なのです。「地域の理解」や「地域生活」、「地域福祉」と多くの場面で「地域」をよく口にします。しかし授産施設の職員はマーケットと地域を同一のものと感じている人が少ないかもしれません。ひとつひとつの商品は実はメッセージをもって地域の人に伝わっているのです。
─── その他、設備環境の向上の必要性、それに関わるコストの問題、「障害者自立支援法」にまつわる通所者への金銭的弊害などについてお話頂きました。 |
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職業奉仕委員会 委員長 須藤 丈 |
貴重なお話しを頂きました。ありがとうございました。 |