会長 白木松敏 ── 今日は盲導犬協会関係者が3名いらっしゃっています。そして特別ゲストはこちらのサンディーちゃん、女の子です。こちらも含めて大徳吉則さんに20分まで卓話を頂戴しその後10分ほど千歳視覚障害協会の菊池悦子さんにお話いただきます。では、皆さん有意義な卓話を聞いて下さい。宜しくお願いします。
(例会担当委員会 理事会)
公益財団法人 北海道盲導犬協会
事務部渉外・庶務担当部長 大徳 吉則 様
盲導犬が外で働いているときにはどんな仕事をしているのか話してみたいと思います。盲導犬のしている仕事の一つ目は非常に単純ですが、真っ直ぐに歩くという仕事をしています。人間には利き手があり、足にも利き足があります。目をつぶったままですと真っ直ぐに歩けない身体をしています。盲導犬は歩道がある時には歩道の端を、歩道が無い時でも車道の端を真っ直ぐに歩くという仕事をしています。 二つ目の仕事は交差点に来ると止まって主人に知らせるという仕事です。よく盲導犬が道のりを覚えていて視覚障害者を場所まで誘導していると思われますが、実際には人が頭の中に地図を描きながら歩いているということになります。一般の方は盲導犬を見ると、視覚障害者を連れて盲導犬は偉いなと思うかもしれません。しかし、実際には人が盲導犬を使って歩いているということになります。あくまでも人が目的を持って、頭の中に地図を描きながら目的地まで歩いているということになります。 そうすると自分の知らないところには盲導犬と一緒に行けないかというとそうではありません。知らない街に降りて分からないと人に聞くと思います。盲導犬も人に聞くことによって、もしくは事前に調べる事によって知らない所でも活動する事が出来ます。 一つ目は真っ直ぐに歩く、二つ目は交差点で止まって知らせるという仕事、三つめは視覚障害者の目の代わりになって物を探す仕事です。皆さん目をつぶったまま自宅に帰るのは難しいですが、このホテルから出る事も難しいと思います。盲導犬はこの会場から出たい時には、「ドア」という号令をかけます。そうすると自分が最初に入ってきたドアを探してそこに視覚障害者を誘導していきます。そして、盲導犬が止まった時に頭から鼻先に手を伸ばしていくとその先にドアノブがあります。「椅子」という号令をかけて、止まった時に頭から鼻先に手を伸ばしていくと自分が座る座面を確認する事が出来ます。ここは2階ですので、「階段」という号令をかけると自分が昇ってきた階段を探して誘導していきます。勿論下に降りる方法は、階段の他にエレベーター、エスカレーターという号令があります。それぞれ言葉を聞き分けて誘導します。 視覚障害者は毎日、JRやバスを使って通勤している方もいます。「バス停」という号令をかけるとバス停に誘導していきます。バスの中に乗り「椅子」という号令をかけると空いている席を探して誘導していきます。盲導犬は50種ぐらいの言葉を覚えていきます。 最後に四つ目の仕事は視覚障害者を安全に目的地に誘導していくという仕事をしています。車社会ですので、私達でも外を歩くときはいつ事故に遭うかわかりません。視覚障害者が単独で外を歩くときは命がけで歩いていることになります。盲導犬は危険な時は命令に従わないという訓練を受けています。これは不服従の服従訓練というものになります。交差点を渡る時に「横断」という号令をかけて横断歩道を探して誘導します。犬は信号の色を見分けられるわけではありません。盲導犬の使用者が耳を使って車の流れを見ています。時計の針でいう3時9時の方向に音で車が流れていると前の信号は赤信号という事になります。その流れが止まって6時12時の方向に車が流れ出したら青信号ということになります。盲導犬は実は色盲に近いのではないかと言われています。信号の音を見分けている訳ではありません。車の音が聞こえない時、例えば田舎の道で赤信号でも車が来ていない時はそこを渡ります。勿論、盲導犬も車には引かれたくないので車が来ているときは「OK」と号令をかけても前に進みません。 視覚障害者は駅のホームなどで昨年は何度か事故になっておりニュースを見た方もいるかもしれません。犬はホームの下に降りるのは簡単ですが、横にいる視覚障害者が怪我をしてしまう時には命令に従わない事になります。夏には自転車がたくさん止まっていて、壁との隙間を犬は通る事ができても横にいる視覚障害者がぶつかってしまう。横の人がいる幅の安全を確認します。安全の確保は犬が自分の体だけではなく横にいる視覚障害者の方の横幅と高さの安全を見ながら歩いていることになります。 今日はサンディーが来ていますので犬を使って少し歩いてみたいと思います。 盲導犬というのは24時間仕事をしていると思われがちですが、そうではなくこのハーネスをつけている時だけが仕事中という意識を犬も持っています。皆さんが見かける時はハーネスをつけているので仕事の時です。外を歩いているのは1時間~2時間ですのでその間が盲導犬の仕事中です。ハーネスを外して家や職場にいる時は自分の場所で自由にしているのが盲導犬の普段の生活です。 (中略) 盲導犬の仕事を4つお話しました。もう1つ盲導犬の役割があります。視覚障害者の方は皆さん明るい方達ばかりですが、失明した当時の事を思い出すと生きる希望を失くしてしまう方が大変多いです。盲導犬の世話は目の見える方と一緒に生活していても、視覚障害者自身が自分でするよう指導しています。排泄、食事、体の手入れを自分でするよう指導しています。そうすることによって視覚障害者の生活が規則正しいリズムになり盲導犬が自分の心を支えてくれる存在になります。盲導犬というと犬が無償の愛情で人の為に仕えるというイメージがありますが、犬の訓練は良く出来た時に良く誉める、そして犬の世話をしてあげる。盲導犬と視覚障害者は喜びを共にしながらお互いに支え合って生きている、生活をしているということになります。短い時間でしたが有難うございます。今後とも宜しくお願いします。

今日はキャンペーン犬のサンディーが一緒に来ておりますので、サンディーも見えるように前に出てお話させていただきます。先ほど今日私が連れきている盲導犬もご紹介していただきました。名前はサンディー、女の子で7歳になります。2歳からずっと盲導犬の啓発活動をやってきていますので、今は私と同じように広報部長で同僚になります。犬の種類はラブラドールレトリーバーという種類のイヌになります。先ほど会長のスローガンで誉めるということがありました。盲導犬の訓練も一般の方は、辛く厳しい訓練をしているのではないかというふうに思っている方が多いのですが、盲導犬の訓練は厳しく躾けるのではなく、良く出来た時に良く誉めることで盲導犬を訓練しています。厳しくしつけても盲導犬を使うのは訓練をしたことのない視覚障害者の方です。誰でも盲導犬が使えるように良く誉めるという事で育成しています。皆さん生活をしている中で、実際に視覚障害者が扱っている盲導犬を見かけたことがありますでしょうか。3分の1以上の方に手を挙げていただきました。有難うございます。今、日本の国内には1050頭ほどの盲導犬が現役で活躍しています。そのうち北海道盲導犬協会が育成した盲導犬というのは、約一割の96頭ほどです。北海道盲導犬協会は1970年から札幌で盲導犬の育成を始めました。そして昨年度、500頭目の盲導犬を育成して視覚障害者に無償貸与することが出来ました。これまで累計では509頭の盲導犬を育成して視覚障害者に貸与してきました。札幌にある北海道盲導犬協会は、北海道にしかない特色がいくつかあります。盲導犬協会は各都道府県にあるわけではなく、日本国内には10か所の盲導犬施設があります。北海道盲導犬協会の特色の一つとして雪道の歩行が出来る盲導犬を育成している施設ということになります。ここ数日間も大雪のニュースが出ていました。盲導犬は繰り返し、繰り返し訓練をする事によって、雪が無い時でも脇道を視覚障害者に知らせます。それを繰り返して訓練する事によって、大雪が降って脇道が雪で埋もれてしまっても、道があるところに来ると視覚障害者を誘導してきて止まります。横断歩道にも雪山を乗り越えていかなければならないような時で犬の目線からは見えない時も、渡りたい時には「横断」という号令をかけると雪山を越えて視覚障害者を誘導していきます。雪道の訓練をしているのは、全国で1か所だけですので北海道盲導犬協会で育成している盲導犬は、道内全域は勿論ですが、東北地方や長野でも活躍しています。 もう一つの特徴は、北海道盲導犬協会というと犬を訓練している施設と思いがちです。実際には視覚障害者を訓練する施設、視覚障害者のための総合的なリハビリセンターを目指しています。視覚に障害を持った方たちのための施設ということです。盲導犬の訓練はその中の1つで、それだけではなく、白杖を使った歩行訓練も行っています。現在は先天的ではなく、中途で失明される方が大変増えています。若い方は交通事故やいろいろな怪我等で失明する方がおります。ある程度年齢がいっている方は白内障や緑内障、糖尿病など病気で失明する方が増えています。中途で失明した方達の生活訓練も行っています。例えば主婦の方が調理をするためにはどうしたらよいのか。掃除、洗濯から点字の訓練、音声によるパソコンの訓練等、生活訓練全般を行っています。 もう一つ北海道盲導犬協会の3つ目の特徴は、何度か皆さんテレビで見たことがあるかもしれません。引退した盲導犬がいる施設、老犬ホームがある施設になります。これは、世界でも北海道盲導犬協会が初めてということになります。犬も生き物ですので盲導犬は10歳から12歳の年齢がくると引退をします。盲導犬を使っている視覚障害者の一番の願いは長生きをする盲導犬を作って欲しいという事ですが、やはり生き物ですのでどうしても引退をする時期があります。老犬ホームが出来たのはもう30数年前です。北海道で育成された盲導犬の第1号は募金箱にもなっているミーナ号という犬です。そのミーナたちが引退するときに安心して老犬を預ける施設が欲しいということで、 盲導犬を使っている視覚障害者の人達がお金を出し合って出来たのが老犬ホームです。現在は盲導犬を引退した犬たちは数が増えていて、60頭位います。老犬ホームだけでは面倒が見られないので、一般のボランティアや小さい時に飼っていたパピーウォーカーの家庭に戻っている犬たちもいます。老犬ホームには60頭ですが、老犬ホームで亡くなった後は、協会の敷地内の霊犬安眠の碑で眠りにつくことになります。3つ目の特徴としては引退をした老犬ホームがある施設ということになります。

千歳視覚障害者福祉協会 会長 菊池 悦子 様

内容はガイドヘルプ(視覚障害者誘導方法)、白杖体験、 視覚障害者の卓球(音卓球)です。この学習体験は今年度約30時間行っています。また視覚障害ガイドヘルパー養成の講習会も行っています。道路工事補修や公共施設建設に伴い、ユニバーサルデザインの意見交換、検証依頼もあります。
依頼があった時には市や業者から図面をいただき、図面を見て現地に行って確認しながら検証し、視覚障害者だけではなく皆さんにとって優しい便利で利用しやすい事を考えて検証、意見交換をさせて いただきます。
例えば点字誘導ブロックの敷設の仕方、視覚障害者にとって正しい敷設かどうかもありますが、一般的にそれが不都合な場合もあります。そういった事も検証しながら皆さんにご迷惑がかからないよう程度に利用しやすいように敷設させてもらいます。照明、壁の色、設備、トイレ等一つ一つ意見交換していただいて、私達だけでなく一般の方、お年寄りにも優しい設備となるよう検証させてもらっています。
目が見えないので何も出来ないという視覚障害者もいます。しかし、私達に出来る事があります。リングプル、愛キャップを今、積極的に回収しています。いつも私達は皆さんにお世話になっているので、何か恩返しをしたいという想いからマッサージ奉仕活動をさせていただいております。
今年度もやりましたが、もしご希望があれば有難いので、声をかけていただけると嬉しいので宜しくお願いします。
今後共、お世話になりますが宜しくお願いします。ご静聴有難うございました。
日頃から皆様方には協会、また個人的に大変お世話になり有難うございます。
白木会長より当協会のPRをして下さいというお話をいただき、このような場を設けていただきとても有難く嬉しく思っています。でも、すごく緊張しています。話をするのが苦手なので、上手に伝えられるかどうか不安ですが宜しくお願いします。
協会は障害者相互の親睦、障害者の自立更生の促進、そして福祉の向上を目的としています。会員数は正会員32名、賛助会員25名の計57名で活動を行っています。活動を幾つかご紹介します。私達は小学校、中学校、各関係機関への福祉体験総合学習を行っています。